「お前犬食いなのか? ほら、箸はこうやって持つんだよ」
許されないことだと頭の隅で悲鳴を上げる自分がいる
それでも、願ってしまった
生きていたい。
先の見えない闇の中で
刺すように襲いくる雪は、視界も、体温も何もかも奪い、無に返してゆく
もし、ここで倒れても
誰にも見つけられずに土に還るだろう、そう思うと
臓の奥まで凍えてゆくようで…そんな自分にすこし驚いた
いつのまに こんなに我侭になったのだろう。
ただ一度だけ手に入れた、あの、ほんのわずかな時間
不相応だと分かっていたけれど、幸せだと感じずにはいられなかった
温かくて、優しくて、きらきらと眩しい奇跡みたいな日々が、ずっと遠くへ消えてしまう
もう二度と望まない、一度でいい。
最後にもう一度、この手を取って 笑いかけてくれたなら…
今までそんなこと、考えた事も無かったのに
「 … 会いたい 」
弱々しくないた声を、あっというまに吸い込んで
残酷な雪は全てのものを白く、白く、塗りつぶしていった。
「風邪ひくだろ!」
イサザは唯一ギンコが本音を言える相手だといいな
すごく初期に描いた「ヨキ」がイサザと会ってたら妄想