「泣かないで、滑稽な僕を笑ってよ」
8話
(危なっかしくて目が離せねーな音無は)
卒業、おめでとう。
にゃおいの日と聞いて
明日のほうが幸せだなんて、誰が決めたの。
終わらない今より、変わりゆく未来のほうが幸せになるだなんて、どうして分かるの。
もう少しだけ、このままで それが
忘れてしまう温もりだとしても。
音無がどこからか犬を拾ってきた
NPCにしては妙に人懐っこくて、寂しそうだったから…ほっとけなくて。こっそり飼うことにした。
これは音無と俺の、2人だけの秘密だ。
こいつが食べられそうな餌を調達するのに食券を探し回ったり、
寝床を確保したり、
鳴声で団員に見つかりそうになったりと
最初は苦労したけれど
ふかふかの毛並みは気持ちいいし、
意外と芸達者な奴だったから、活動がない日は裏の森で遊んだ。
…早く、気付くべきだったんだ。
よく知る目をしたこの犬が、どこか「似ている」と感じた
その理由に。
***
SSS団員(モブ)の未練解消のためにやってきた迷い犬 的な
息の音(ね)を
「 残念、俺の心臓はここにはないよ 」